「メイクアップ」のラストについて
伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」
アイネクライネナハトムジーク
この中に収められている「メイクアップ」のラストについて。
「一勝一敗」はどう解釈するか。
この話は回収されているのか?
そのような質問を受けました。
そうですよね。
この話のラストは、すっごく気になる終わり方ですよね。
「メイクアップ」は、「アイネクライネナハトムジーク」に収められる前に、
papyrus(パピルス)2014年2月号に掲載されています。
その時に読んだ、わたしの感想はこちらです。
はい、やっぱり、終わりがすごく気になっていますね。
うふふふ。
「アイネクライネナハトムジーク」に収められる際、
一部、名前の変更がありました。
窪田結衣の上司の女性、山田さんですが、
「papyrus(パピルス)」では篠崎さんです。
これは、他の話と関連づけるための変更だと思うのですが、
その他の変更というか、追加された部分は、
この山田さんに関する部分だけだと思います。
ラストにも変更がなく、同じ終わり方ですね。
だから・・・。多分。
他の話で、このラストが変更されているということはないと思うのです。
わたしの想像ですが。
小久保亜季が、辻井さんとどうなったかとか、プレゼンはどうなったとか
そういう話は、どこにも書かれていなくて
読者の想像におまかせします、という余韻を楽しむ終わり方なのじゃないかと。
このように考えています。
じゃあ、わたしの想像はどうなのか・・・ということになりますと。
わたしは、ハッピーエンドが好きなんですよね。
救いのない話は、あまり好みではありません。
というわたしの想像、いえ希望を書きます。
「一勝一敗」
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果たして、どちらの一勝一敗が良いことなのか、
しかも誰にとって良いことなのか、
わたしは判断がつかない。
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と、書かれている通り、「一勝一敗」は誰の何を指すのかわかりません。
では、こういう「一勝一敗」はどうでしょうか。
1.小久保亜季の一勝一敗
(1)一勝
プレゼンに成功して、一勝。
(2)一敗
小久保亜季と、窪田結衣と、野球部の男子の関係で言えば
窪田結衣と野球部男子が、後に結婚をしたのだから、
小久保亜季の一敗。
2.窪田結衣の一勝一敗
(1)一勝
野球部男子と結婚したので一勝。
(2)一敗
高校のときにいじめられていた復讐ができないので一敗。
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実に驚くべきことに、そのどちらかのパターンが
現実のもとのなるのだが。
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とありますが、そのどちらかのパターンとは
1.小久保亜季は、辻井とうまくいって、プレゼンは落ちる。
2.小久保亜季は、辻井とはうまくいかず、プレゼンは成功する。
のどちらかですね。
わたしは、後者のプレゼンに成功するパターンだと思うんですよね。
窪田結衣と野球部男子が結婚できたのもハッピーだし。
小久保亜季がプレゼンに成功するのもハッピー。
これは両者ともに一勝ですよね。
一敗の話ですが。
小久保亜季が辻井とうまくいかないことは、
亜季が敗者のようではあるけれど、
辻井は、結婚詐欺師のような男なので、
まだ、大きく騙される前の、この時点でうまくいかないということは、
実はハッピーなのかもしれません。
窪田結衣の一敗の話も。
復讐ができなかったことは、敗者になるのかもしれないけど、
「人の不幸を望んではいけない」と自分自身をたしなめる結衣ですから
もし、復讐をしてしまったら、後悔の念にかられるかもしれません。
復讐を実行しない方がハッピーなのかもしれません。
つまり、一勝一敗のようで
実は、ふたりとも敗者ではないということでハッピーエンドのお話でした。
ということでいかがでしょうか。
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- 2015.04.04 Saturday
- (30)アイネクライネナハトムジーク
- 11:46
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- by 季ララ
あえてはっきりとしたことは書かず、読者に委ねているんですね〜
このブログを読んでなるほど。。と思いました。そんなに深い話だったんだなともう1回読みたくなりました!