となりに座った女性の会話が聞こえてきて・・・・
そして、電車内広告を見て・・・・
また、空想をしてしまいました。
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「マジで考えようかな。」
小夜は、つぶやいた。
「えっ、何か言った?」
地下鉄がカーブにさしかかった時、ブレーキ音が響き、
陽香には、小夜の声が聞き取りにくかった。
「あ、あ、うん。あれ。」
小夜は、窓ガラスに貼られている電車内広告を目でさした。
『その通勤 つらくなったら とらばーゆ』
転職雑誌の広告だった。
「なに?今の仕事辞めるの?もう、すっかりベテランじゃない?」
「そう、大学出てから、もう8年になるかな。」
「そこまでがんばったのに、何か困ったことでもあるの?」
「ううん、仕事はそれなりにやりがいあるんだけどね・・・」
「じゃあ、なに?」
「あの広告の通りよ。通勤がつらくなっちゃった。」
「ああ、そういえば遠いよね。」
「距離というより、時間的に遠いのよね。」
「じゃあ、乗り換えが大変なの?」
「そう、タイミングが悪いと、2時間近くかかることあるし。」
「えー!2時間?」
「うちの会社、半年ごとに通勤交通費をくれるんだけどね。」
「うん、どのくらいもらってるの?」
「この間もらったばかりなんだけど、びっくりしたわ、17万よ!」
「わー、そんなに。」
「会社には感謝してるけど、毎日疲れちゃって。」
「そうだろうねー。毎日だもんねー。」
小夜は、昨夜、同じ会社に勤め、彼氏でもある薫とケンカをして、
気分が滅入っていた。
原因は些細なことなのだが、
通勤に時間がかかることが遠因にあり、
小夜は、仕事への情熱も薄らいできていたのだ。
そこへ、あの広告の文字を見て、「転職」という言葉が
小夜の頭の中を駆け巡った。
「あの広告が、あたしの背中を押してくれてるみたい。」
「えー?そうなのぉ?」
「そろそろ潮時かなぁって・・・いろんな意味でね。」
ブーブーブー・・・マナーモードのケイタイが鳴った。
「あっ、メールがきたわ。ちょっとごめんね。」
メールをチェックした小夜の顔が、みるみる笑顔に変化した。
「どうしたの?何かうれしいメール?」
「う、うん、まあね。あたし、やっぱり今の会社でがんばるわ。」
「何なの、それ」
「えへっ、ごめん。薫からのメールだったんだ」
「薫くん、何だって?」
「結婚したら、会社の近くにアパート借りようって。」
「それ、プロポーズ?」
「さぁ、そういう訳じゃないけど、今夜逢おうって書いてる。」
「じゃあ、その時に正式にプロポーズしてくれるのかな。」
「う・・・うん。それを待ってる」
「そうだよね、きっとそうだよ!おめでとう。」
「あ、ありがとう。でもまだ、決まったわけじゃないから」
と、小夜は言いながらも、頬を紅らめた。
薫と付き合い始めて3年半・・・
独身OLから、働く主婦への転職かもしれない。
これも、「とらばーゆ」なのかな。
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とらばーゆの広告の「つらい通勤」というのは
地下鉄の窓ガラスに貼ってあったので、
直接的には、通勤自体がつらいという意味だろうけど
仕事内容や、人間関係や、お給料や、
いろんなことで「仕事」がつらくなることはあるよね。
それを、意味してるのかなぁと思ったりしました。
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